千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40
緊急経営改善計画 (平成23年5月)
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 巨大地震からすでに一ヶ月以上経過した。少しずつではあるが、前向きに動き出している。私の関与先であるA社は、社屋も機械も車もすべて流されてしまったが、緊急にプレハブを建て、機械や車を他県から借りてきて、すでに以前より忙しく動き出している。

そのA社長が震災翌日、憔悴した顔で私の前に現われた時には、内心これからいったいどうなるのだろうという不安感に私自身も襲われた。水道も電気もない、スタッフもいない薄暗い事務所で今後のことを二日間にわたり話し合った。「これからまた大きな借金を背負いやり直す気力はない。すっかり心は折れた。」と話すA社長に、かける言葉もなかった。

今回の被災の大きさには、下手な励ましの言葉は、何にもならない。私が目の当たりにした数々の光景は「想定外」などという安易な言葉さえ、拒絶するものだ。

仙台出身の作家の熊谷さんは、「人間は何をどう想定しようと、人智をはるかに超えた力を、時に暴力と言う形で解き放つのが自然だということを、私たち東北人は誰に教えられることなく知っている。だからこそ私たち東北人は、自然に対して謙虚に向き合い、その厳しさに耐えることを当然として生き続けてきた。だから、今回の震災に対しても、失ったもののあまりの大きさに嘆きこそすれ、恨むことはしていない。ただ黙々とその日に出来ることをひとつずつ積み重ね、日常を取り戻すための辛抱をするだけだ。」と話している。

 こんな時、我々会計人のできることは限られている。固定電話がつながり、すぐ私が指示したことは、命を繋ぐ資金調達のために日本政策金融公庫へ連絡することだった。そして無理を言って、二日間にわたり当事務所を窓口に緊急融資相談会を実施した。

しかし、融資を受けた企業は、阪神大震災を教訓に、今回の融資を単に延命効果で終わらせないようにしなければならない。そのためには、まずは「緊急経営改善計画」とも言える現実的な計画が必要だ。この「緊急経営改善計画」は、より現実的に実現可能なもので、かつ借入先金融機関の協力も得られるものでなければならない。

その際の第一条件は、何はともあれ、経営者が覚悟を決め、本気で取り組むことだ。先月の私のエッセイでも書かせていただいたように、経営者が心を折らなければ(たとえ借金を返せまいが、不渡りをだそうが)会社は決して潰れないということを肝に銘じて、覚悟を決めて経営改善に取り組むことが重要だ。

取引先の被災から売上が大きく落ち込むことが考えられる場合には、売上高を上げる計画が中心になる。売上を将来上げられなくては、いくら融資を受けても延命措置になりかねないからだ。そうは言うものの、簡単に売上を増加させられる環境にないので、実現可能な範囲での増加を目指す。同時に経費の削減が必須だ。

しかし、成果を上げるには一定の時間を要するので、最低3年から5年先の資金繰り計画が必須だ。その際、収入は控えめに、支出は余裕を持たせた上で、十分に資金が回ることを確認しながら取り組むことが重要だ。そのための支援はいつでもできますので、遠慮なく相談してください。応援しています。
 
 
千葉和彦 
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