千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40
いよいよ「信託」が動き出す
 (平成25年2月)
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今回の税制改正大綱で、祖父母から孫への教育資金の信託による贈与を1500万円まで非課税にすることが決まり、各信託会社が色めき立っているという記事が昨日(28日)の日経の記事にのった。

かなりの利用者が見込まれることから色めき立つのも当然かもしれない。信託協会のアンケート調査によると62.5%の祖父母が「将来の教育資金としてまとまった金額をサポートしたい」と思っているようだ。金融庁は新制度で贈与を受ける利用者が年間約93万人いると予想している。大手信託銀行は商品化を準備しており、今春にも投入されそうだ。

以前からある制度に「特別障害者扶養信託」がある。この制度は重度の心身障害を持つ特別障害者の生活の安定を目的として、親や親族が金銭や不動産を信託財産に入れ、管理・運用し、障害者の医療費や生活費の定期的な支払をするという制度だ。この制度では、委託者が生きている間に信託財産を預け、受益者に与える形となる。この場合、本来は贈与税がかかるが、6000万円までの財産については、特例で贈与税が非課税となる。

10年ほど前に、私はこの制度を活用しようとして大手の信託銀行に問い合わせしたが、その引き受けに対し、どこも答えは「NO」だった。なぜなら私の取り扱った当時の案件はほとんどの信託銀行が扱わない不動産だったからだ。現在もその状況は変わらない。しかし信託法が2007年9月に84年ぶりに改正されてから不動産の信託を積極的に受ける信託会社もでてきた。そのため今後この制度の活用が大いに相続対策としても有効になる。

また不動産経営に精通した信託会社もでてきて、土地の有効活用も相談に乗ってくれる。その場合、土地所有者は土地を信託するだけで良い。その信託会社が事業計画の立案から必要な資金調達、建築会社の選定、テナントの誘致、完成後の管理運営まですべての業務を行ってくれる。信託契約期間終了時には預かってもらっていた土地建物が返還される。また、その間に相続が発生した場合は、個人で活用した場合と同様に評価減の適用が受けられ、信託会社の借入金も相続財産から控除されるため相続税対策としても有効である。

信託には「遺言信託」(銀行が従来から提供している「遺言信託」とは、遺言書の作成、保管、及び執行を行ういわば「遺言書サービス」に過ぎず本来の“遺言による方法で設立される「遺言信託」”は異なる)と「生前信託」があるが、「遺言信託」をするなら「生前信託」で、自分の生存中に信託契約により信託を設定した方が良いと思う。

自分死亡後の受取人を指定することで(遺言代用信託)で、遺産分割協議や相続登記、名義変更の煩わしさから解放される。さらに相続発生後、すぐに財産を利用できるというメリットがある。遺言信託は遺言書の検認手続きや遺産分割協議が必要で、分割協議終了まで財産を利用できないというデメリットがあるからだ。今回の法律の改正で正式な形で日本でも利用することができるようになったため、個人の相続税対策で活用する方法を考え、実践していきたい。

2013年1月29日(火) 著 者   千葉  和彦 

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