千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

企業は潰れるものだ!
(平成25年8月)

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企業は潰れるものだ!

先日、東京で2日間、14時間のセミナーを受講してきた。
講師は事業再生の専門家だ。セミナーの開始前に講師は「医者は人の命を救い、税理士は企業の命を救う。」と大書した。
そしてそのためには税理士事務所が「士業から企業」にならないと企業を助けることはできない。是非企業を目指してほしいという話が講義中何度もあった。
企業の終焉と再生に立ち会うコンサルタントの重い言葉だった。
「変動損益計算書の中で、変動費を下げるにはどうしたらよいですか?」と講師が質問を始めた。
得意分野である我々、参加税理士(9名)は各々の考えを述べた。
その後、引き続き「では変動費をゼロにする方法は?」と問われた。
私はとっさに「受託販売に切り替えてはどうでしょうか」と答えた。
講師は、したり顔で「ほかに意見ありませんか?」と更に問い続けたが、それに対して誰からも意見は出なかった。

しんと静まり返った部屋で、講師は「税理士先生方の発想の限界ですね。」と言い、「業務を廃止したら、変動費は発生しないですよ。」と話した。
それを聞いた私たちは、一瞬呆気にとられてしまった。まさしくその通りだが、私自身そこまで柔軟な発想はできなかった。

続いて「法律は誰の味方ですか?」という質問に、参加者の税理士が「国民の味方です。」と答えると講師は「ほんとにそうですか。法律は、知っているものの味方です。」と言った。
さらに講師の問いは続いた。「企業はみな遅かれ早かれ潰れます。その時に取引先に迷惑をかけずに、社長と社員を助けるにはどうしたら良いのですか?」と。
私の頭の中には「いかにして老舗企業になれるよう支援していくか」という発想しかなかったため、講義の内容は、ある意味ショックだった。
確かに、100年以上生き残る老舗企業といわれるものが、全事業者の1%から多くても3%であることを考えれば納得だ。

知り合いに年商100億円の社長がいるが、その社長の口癖は「事業は俺一代で終わりだ。だから後継者も組織もいらない。」
まさしく社長のワンマン経営で、町の商店がただ大きくなった感じだ。
そのような会社がそこまで大きくなっていることも私の中での七不思議だが、私が社員だったらそのような社長の下で働くのは嫌だ。

社長は社員とその家族の人生も抱えているという自覚を持たなければならない。人間はみな生活の向上を願い、自己の才能を発揮したいという欲求を持っている。一個の人間としての「自己拡大」の本能である。
そのためにはどうしても長期的な繁栄を目指さなければならない。この自覚が経営者の使命感といえるものだ。
しかし、必死で努力しても、望まぬ結果になった場合には、廃業もやむを得ない。
最初から廃業前提は、経営者として身勝手としか言いようがないが、企業が存続できない現実から逃げてもいけないということを、今回のセミナーで気づかされた。
あくまでも継続企業をめざすが、意に反して市場から撤退せざるを得ないときの退場の仕方も学んでおく必要があるとも思った。
会社がなくなっても人生はある。その人生をいかに充実させていくかまで考えていなければならない。

経営者も大変かと思うが、そのようなことも逃げずに考えておくと、いざという時に法律が味方してくれ、怪我もすくなくて済むようだ。最後まで応援しています。


2013年7月29日(月)   著 者  千葉 和彦

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