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富裕層を目の敵にした税制はやめよ
(平成25年11月)

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10年ほど前に太田晴雄という経済評論家の勉強会に参加したことがあるが、その時先生は自分の財布の中に日本円よりもドル札、ユーロ札を多く入れていた。

その訳を尋ねると「私としては、日本円だけ持っているあなたたちの方が信じられない。」と言われた。先生は日本経済は破綻せざるを得ないので、いずれ預金封鎖がなされるだろうという見解だった。

太田先生が言っていた預金封鎖はまだないものの、日本の借金は着実に膨らみ現在1000兆円を超えている。企業経営では借金は年商の半分までと言われているが、日本国の年商にあたる税収は約50兆円だから年商の20倍の借金になる。企業ならリスケをして、借金をカットしてもらうか、破産する以外に生き延びる方法がない。
ならば、約1400兆円と言われている日本国民の預貯金を封鎖して、国民から取り上げれば危機は避けられる形にはなる。あながち預金封鎖も冗談とは言えない。国はそうなる前に少しでも税収を上げなければならない。その最初の政策が今回の消費税アップなのだと思う。

昨今の日本の税制改正の流れを見ていると、それは「格差是正」という美辞麗句の名のもとに富裕層を目の敵にした政策と思える。資本主義経済の自由競争の中にあっては自助努力でその差は縮められるべきものと思う。国がするべきことは、その自助努力が報われる機会の平等を促す仕組みを作ることであって、あるところから取り上げ、ないところにばら撒き、結果、平等にするというような短絡的なものであってはならいと思う。

歴史を紐解けば、富裕層に対する税金が軽い時代に文化が発展するようだ。自分の家に才能豊かな書生さんや芸術家の卵を大勢下宿させ面倒を見て、やがてその者達が文化や芸術のレベルを押し上げていくからだ。今の税制ではそのような余裕のある富裕層は見かけられない。自分のことで精一杯だからだ。

富裕層は所得と資産の両方から搾り取られる。所得税の最高税率は、平成27年からは55%(所得税45%、住民税10%)に上がる。稼いだ所得の半分以上が税金に取られる。相続税も同じく最高税率55%になる。これを異常と思わない感性が私には不思議だ。必死に昼夜を徹し働き、稼いだ所得の半分以上持っていかれ、さらにその残した半分にまた税金がかけられ半分持っていかれる。

仕事柄私の顧客には世にいわれる「富裕層」的な人が多い。どのかたも温厚で人柄もよく、決して見栄も張らず、質素で堅実である。先祖代々残された資産を減らさないようにと、自らは贅沢を控えている人がほとんどだ。国は何故そのような人たちを悪人のように目の敵にして税金を搾り取ろうとしているのか不思議だ。副島隆彦氏の「税金官僚から逃がせ隠せ個人資産」が話題になっているが、それを実践されないためにも国はもっと国の将来を見据えた税制を考えるべきだと思う。

我々日本国民はこの国がどの国よりも好きだし、誰もが国の力になりたいと考えているのだから、もっと国民を信用してほしいと思う秋の夜長である。


2013年10月26日(土)  著 者  千葉 和彦


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