千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

遺言と信託
(平成26年1月)

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[遺言]

最近は、遺言の相談が多い。遺言は、残された相続人が揉めないようにするための、残す側からの愛情ともいえる。もし遺言がなければ、相続人で話し合う遺産分割協議をしなければならない。

普段仲の良い相続人であっても、すんなり話がまとまることは少ない。まずは、相続権のない相続人の配偶者や親族、友人までもがいろいろ相続人に知恵を入れてくる。なかには、正しい知識にもとづかない無責任な意見も多い。相続人は時間が経過するにつれて、その意見に惑わされ、自分の権利の主張をしはじめる。そのあげく仲の良い兄弟も、親の相続後は断絶してしまっているところも多い。荒涼、索漠とした関係になった兄弟を、亡くなった親は草葉の陰でどんな思いでみているのだろうか。

財産をもらう人がお互いに話し合うから揉めるのであって、財産をあげる人が自分で決めていった意志には従うしかない。すべてが円満に解決するわけではないが、揉める要素も格段に少なくなる。それ故、相続税がかかる、かからないに関係なく、少しでも自分名義の財産のある方には「遺言」を進める。

[遺留分]

しかし、遺言をしたからと言って、油断してはならない。法定相続人は、民法の定めによりそれぞれの相続人が必ず受け取ることができる最低限度の遺産の分け前が保障されている。これを「遺留分」という。

相続人が長男と次男の子供二人だけの場合に、「全財産を長男に相続させる。」という遺言を残したならどうだろうか?二男は長男に対し、全遺産の四分の一の「遺留分減殺請求」をすることができる。いよいよ相続争いの始まりである。せっかく遺言をするのだから、このことを念頭において遺言しなければならない。そうすれば、揉めることは防げるのだ。

「子供のいない夫婦の例」

遺言をしておかないと、夫の兄弟にも相続権があるので、話し合いが必要になる。しかし、「私の全財産を妻に相続させる。」と遺言をしておけば、兄弟には遺留分がないのでそのまま妻が相続することができる。

そこで、「全財産を妻に相続させる」という遺言を残そうと思ったが、さらに良く考えた結果、先祖代々の土地なので、妻が死亡した後は、自分の弟に相続させると遺言した。先祖代々の土地を妻の親族に渡すには抵抗があったのだ。気持ちは痛いほどわかるが、この遺言は無効だ。妻の死亡後は妻の相続人(妻の兄弟等)あるいは妻の遺言した人に相続されるのが今の民法だ。

[跡継ぎ遺贈]

何とか自分の弟に相続させられないか?という質問が意外と多い。
同じように後継者の長男に自社株を相続させても、長男に万が一のことがあり死亡した場合、その自社株は長男の嫁に相続されてしまうので、心配で贈与できない。長男が死亡した場合、二男に自社株を相続させることができないか?という質問も多い。
ここで朗報を伝えなければならない。まだあまり活用されていないが、2006年の信託法改正で、民法では無効の「跡継ぎ遺贈」が、信託を使えば可能になったのだ。

これを「受益者連続信託」という。しかし注意点がある。「遺留分減殺請求」は信託であっても遺言同様に存在するのだ。詳しくは後日セミナー等でお話ししたいと思います。良い年をお迎えください。

2013年12月27日   著 者  千葉 和彦


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