千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

税制改正と信託の活用について
(平成26年2月)

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即時償却

 アベノミクス「三本の矢」のうち、第三の矢が放たれた。「民間投資を喚起する成長戦略」という今まで例を見ない大胆な政策だ。生産性の向上につながる設備等を購入したら、一定の要件のもと全額を損金算入できるというものだ。すでに通常の税制改正に先んじて、今月1月20日からスタートした。ただし今年3月31日までに購入しても4月1日を含む事業年度に適用なるものであるから、1~3月決算法人の今期の対策には反映されないから注意が必要だ。元気な会社はすでに今年の設備投資計画を検討中だが、まだ税務上の詳しい内容が出てきていないので、私自身、相談があるたびに経済産業省にその都度問い合わせをしている。

信託の活用について

 「事業承継対策」として信託を活用する方法について話したい。現在の自社株式の評価はまだそれほど高くないが、今後上がっていきそうなので、今のうちに後継者の長男に自社株を贈与しておきたい。
 しかし、まだまだ半人前なので議決権は現社長が持ち続けたい。これは常に経営者の頭を悩ます問題だ。これを解決する方法として「自己信託」がある。社長自身の株式を社長自身に委託し、受益者を長男にするのだ。つまり長男には配当や株式を売却した際の売却代金を受け取る権利だけを持たせ、議決権、支配権は自分が持ち続けるという手法だ。社長の死亡で信託は終了するように定め、社長死亡の際には、確定的に長男が自社株式を取得し、議決権を行使できるようにする。税務上は信託の設定時に株式の所有権が長男に移ることから贈与税の課税対象になるが、その自社株の評価がなければ贈与税もかからない。
 また、その時点で社長の相続財産から自社株はなくなる。そのため将来自社株の評価が上がり、相続税の対象になるリスクも避けられし、遺留分の対象からもはずせる。しかも長男は信託契約の受益者となることで、将来必ず経営権を取得できるという安心感(遺言は何度でも書き直せる)から仕事にたいするモチベーションも上がるのではないだろうか。

高齢者の相続対策

 相談者の父親は広大な土地を所有しており、どうも多額の相続税がかかりそうだ。そこで心配になり、相続対策でマンションやアパートを大至急建てることになったが、父親は高齢な上、認知症気味で、どうも判断能力が怪しいというのだ。
 さて、この場合非常に残念だが、父親名義での建設はできない。金融機関も融資に応じてくれない。急いで成年後見人を立てても、後見人は相続対策はできない。後見人の目的は父親の保護だけだからだ。
 ではどうしたら良かったのだろうか。この場合、父親の意志がしっかりしているうちに、息子や娘に土地等の財産を委託し、父親が受益者となる「信託契約」を結んでおけば良かった。万が一マンションやアパートの建設中に判断能力が落ちても、親に代わって受託者の息子、娘の判断で開発を進めることができる。税務上は原則として受益者を所有者とみなすので、この「信託契約」の時点では、まだ課税は発生しない。従って、相続発生ぎりぎりまで、相続対策ができることになる。2035年には現在の約2倍の455万人が認知症になるといわれている。さらに今後、85歳以上の4人の1人が認知症になることが予想されることから早めの対策が必要になる。何でも早め早めの対策が基本ですね。次回も「信託の活用」について書きます。

2014年1月28日 著 者  千葉 和彦



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