千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

ある日の遺言立会い
(平成26年3月)

エッセイ一覧へ

←前へ 次へ→
[遺言立会い]・・全財産を奥様に相続させる・・

 今日は午前中に遺言の立ち合いがあった。遺言には証人2名必要なので、当社のスタッフと出かけたのだが、思いの外、道路には雪がまだ残っており、いつもなら40分くらいで行けるところが1時間以上もかかってしまった。だいぶ余裕を見て出発したのだが、もはや目的地というところで、遅々として進まない車の流れにイライラしながらも、自分の予測が甘かったことを反省した。齢60歳にして日々反省だ。公正証書遺言自体は、長時間の交通渋滞を乗り越えて臨んだにも関わらず、数十分で完了した。遺言実行に至るまでは、我々が遺言者と公証人の間に入り、何度も内容を煮詰めたりして時間がかかるのだが、当日はあっけないほどに、すんなり進むのだ。

 さて、今回の遺言はお子様がいないご夫婦のご主人が奥様に全財産を相続させるというものだった。ご夫婦二人だけの場合、ご主人に万が一のことがあると、奥様とご主人の兄弟姉妹が法定相続人になり、遺産分割協議が必要になる。ご主人の兄弟から印鑑がもらえなくて、ご主人名義の自宅も奥様の名義に変更ができず、ひと苦労したことがある。今回のように遺言をしておけば、兄弟には遺留分がないので、万が一の時には、すぐに相続登記ができることになる。しかし理屈は分かっていても、この方のように実際に行動に起こされる方は少ない。遺言はしなくてはいけないと思っていても、なかなか行動に移せないことのひとつだが、死後、自分の思いを家族に伝えるという意味でも、作成しておくことをお勧めする。

[信託の活用その1]・・受益者連続信託・・

 最近奥様に全財産を相続させるのは構わないが、奥様の死亡後は、自分の弟など親族に相続させたいという相談が多い。先祖代々の広大な土地や収益物件を、できるなら、自分の血筋に相続させたいと考えるのは、自然かもしれない。しかし、遺言でそのことを書いても無効なのだ。民法上、奥様の遺言に従うか、遺言がない時は、奥様の親族に相続されることになる。ここで、登場するのが「信託」という手法だ。委託者はご主人で、受託者を自分の弟か甥など信頼できる親族にし、受益者は、生前はご主人で、死後、受益権者を奥様に指定しておく。奥様が生存中は、アパートなどの収益物件を弟などの受託者に管理してもらい、奥様の死亡後信託が終了するよう定め、最終的に信託の残余財産の帰属先を弟や甥などの自分の親族に指定しておけば、希望がかなえられることになる。

[信託の活用その2]・・特定贈与信託・・

 とても地味な昨年の改正であまり話題にならなかったが、平成25年4月より障害者の対象が広がり、一般障害者も対象になっている。ただし金額は特別障害の場合の半分の3000万円だが、通常の贈与に比べてメリットは大きい。特別障害の場合には6000万円まで非課税だが、受託者は信託銀行にしなければならない。信託財産は金銭のほかに、収益を生む不動産でも良いが、大手の信託銀行は、ほとんど不動産を受けない。不動産管理のノウハウがないからだ。しかし、不動産管理を得意にしている信託会社もあるから、あきらめずに問い合わせて見ると良い。特に資産家の方は、この制度を活用すると、自分の死後も、安心して障害を持つ子息等の生活の安定をはかれると同時に、相続対策にもなるのでその効果は大きい。対象になる方は是非検討してもらいたいと思う。
 

2014年2月22日(土) 著者 税理士 千葉和彦






http://hpcounter1.nifty.com/cgi-bin/counter.cgi?u=TKC07297&p=9&c=6

Copyright Chiba Keieikikaku (c), All rights reserved.