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わが社に、一人でもB/Sがよめる社員がいたら
(平成26年5月)

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 「わが社に一人でも貸借対照表が読める社員がいたら、こんなことにはならなかった。」とは、かつて一世を風靡した佐藤社長の言葉。佐藤社長が経営する(株)佐藤工務店は1990年には年商350億、経常利益率10.8%の優良企業だった。
 

 しかし、1996年に負債総額220億円で倒産。家族からも見捨てられ、たった一人で借家暮らし。「もし私をはじめ一人でもわが社に貸借対照表が読める社員がいたら、5年後には自己資本比率を40%にするなどという目標を立てていただろう。そうすれば、高級車やヨットなど無駄な買い物をしなかったろう。節税という名の無駄使いをしたことが、財務体質を弱めた。」と話されていた。
 

 佐藤社長から学ぶことは、第一に経営者は好き嫌いに関わらず、決算書を読めるよう勉強することだ。経営者は、営業や技術出身の人が多く、どうも経理は苦手という方が多いが、経営者となった以上避けては通れない。例えどんなに優秀な経理マンのスタッフがいてもだめだ。なぜなら、その数字を読み、戦略を立てることは経営者にしかできないからだ。京セラの稲盛会長が「会計がわからんで経営ができるか」と世の経営者に向けて声高に叫んでいることを見ても明らかだ。
 

 第二に経営がおかしくなった時のことを考えておくことだ。人も企業も元気な時は病気になったときのことを積極的に考えるのは難しい。またそんなことばかり考えていたら前向きの経営もできない。そのためか、経営者にはポジティブで明るく元気でいい加減な方が多い。だからこそ余計、駄目になった時のことや、企業の出口というものを考えておかなければならないのだ。
 

 今や30年前とは異なり、企業の寿命7年と言われる時代。年間約8万社設立されて10年後残るのはわずか5%と言われている。生き残るより潰れる確率がはるかに高い。もちろん企業は生身の人間と異なり、時代の変化に上手に乗りながら、しっかり経営していくことで100年、200年、1000年の命を与えることも可能だ。現に日本には創業200年以上の企業は3000社以上ある。しかし、現実には廃業、倒産に追い込まれる企業が多いことに目を背けることはできない。それにしても佐藤社長のように自宅も取られ、家族にも見放されるようでは、老後は寂しすぎる。それにも負けず自分のような失敗をしないように、経営者向けに講演をして歩いていることは素晴らしいことだが、そのような人物だからこそ、最悪の事態に陥らないように適切なアドバイスをしてくれる人はいなかったのだろうかと思うと残念でならない。
 

 佐藤社長のようにならないためには

 ①会社が苦しくなっても家族のお金には手をつけない。

 ②自宅は早めに信頼のできる親戚などに購入してもらっておく。(将来息子等に買い戻してもらうことも視野にいれながら。)

 ③自己破産はしない。法的なことより精神的にプライドがズタズタにされ、生きる意欲、モチベーションが下がる。
 

 上記三つのことを日頃から心得ながら経営に取り組んでいれば、最悪の場合でも何とか老後の生活を守ることができる。経営者の皆さんいつでも応援しています。


2014年4月29日(火)         著 者       税理士 千葉和彦

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