千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

相続重税と遺言
(平成26年10月)

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  マスコミ等でも話題になっている相続税改正問題がいよいよ秒読みとなってきた。今回の改正報道で、普段意識しなかった相続問題に関心を持たれた方は多いのではないだろうか。しかし、来年から相続税がかかる方が急増するというものの、実際の課税対象者が毎年の死亡者の約1割程度ということもあり、一般的にはまだまだ感心の薄い税金であることも事実だ。しかしながら昨今の相続争いは課税の有無にかかわらずおきている。裁判所に持ち込まれた相続財産の価格帯統計を見ても明らかだ。何と相続財産5000万円以下の層の争いが約70%占めている。このことは相続が、決して富裕層だけの問題ではないことを意味するのだ。

 相続争いを少なくするには、まずは遺言であるが、この遺言を書いている方は意外と少ない。日本では1割以下と言われている。遺言の理想は公正証書遺言だが、費用の問題など、敷居が高くて進んでいないという方も多いようだ。出来れば、公正証書遺言にしておくことが理想だが、そこまではという場合は、「自筆証書遺言」を書くことを勧める。その場合、ルールがあるので注意したい。その大前提は「自筆」であることだ。用紙や書式は自由だが、代筆はもちろん、たとえ自分で作成してもパソコンやスタンプ、点字などは無効だ。日付は年月日まで正確に記し、最後に署名と捺印が必要だ。途中で間違った場合は、署名し、訂正印を押すよりも、書き直しした方が良い。当然、修正液などを使ったら無効になる。完成した遺言書は、作成日付と氏名を記した封筒に入れて、偽装防止の封印や「開封せず家庭裁判所の検認を受けること」と言った一文を裏面に入れておくと良い。

 さて、自筆にしても公正証書にしても、せっかく苦労して遺言書を書くのだから、相続人のトラブルを生むような書き方をできるだけ避けたい。それには解釈次第でどうとでも取れたり、最低限の取り分である遺留分で揉めたりしないような配慮が必要だ。特に自宅以外に主な相続財産がない方で、嫁がれた娘さんなどがいる場合、同居している長男にだけ相続させると揉めることが多い。遺留分にあたる金額は金銭で長男が支払うように遺言しておくと良い。とは言うものの、このような場合は、長男に現金がないと支払えないので、長男受け取りで生命保険に加入し、その保険受取金から代償金を支払えるようにしてあげると尚良いだろう。高齢で保険に入れないと、最初から諦めている方もいるが、90歳前後まで無審査で入れる「一時払い終身保険」という保険もある。相続人が死亡保険金を受け取った場合は、当然法定相続人一人につき500万円の保険の非課税枠も使え、受取人も指定できる。更に、死亡前に解約しない限り、リスクもない。保険は相続放棄しても受取れ、遺産分割協議の対象にすることもないので、使い勝手が良い。使える資金がある場合は、一考する価値があると思う。

 相続対策の第一歩は「遺産争いの防止」である。なかなか億劫とは思うが、今回の改正がそのキッカケになると良いと思っている。それでも遺言はなかなか書かない人が多い。私も何年も遺言を勧めてきたが、なかなか書いていただけない方も多い。そのような方には家族信託を活用してはいかがだろうか。次回はその家族信託について詳しく説明していきたい。

2014年9月24日(水) 著者 千葉和彦

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