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自社株式4億円を贈与税0で贈与
(平成27年 4月)

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 どんなに評価が高くなった自社株式も贈与税0で贈与することが可能だ。と言っても「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」を活用しての話だが。すでにこの制度は平成20年に成立していた。

しかし、利用する会社はほとんどなかった。何故ならそれを実行するには制約が多すぎ、使い勝手が悪かったからだ。そのため平成25年度に改正され、いよいよ今年からその改正が適用された。

その結果、以前と異なり、実務的に使える制度になった。せっかくのこの機会だからこそ、この制度をじっくり研究して事業承継に役立てる必要がある。

 先日セミナーでこの話をしていたら、聴講されていた社長から質問があった。「当社は社員500人の会社ですが、当社でもこの制度は使えますか?」と。私が業種を聞くと、小売業ということだ。人数が多いので一瞬駄目かなと言う思いが頭をよぎったが、改めて資本金を聞くと、5000万円ということだった。

中小企業基本法では、小売業の場合、資本金は5000万円以下または従業員数50人以下が中小企業と定義しているので、この会社は中小企業となり、この制度が使えるということになる。(上場会社や資産管理会社は残念ながらこの制度は使えない。)一瞬社長の顔がほころんだかのように見えた。

後で聞くと、この会社の株式は社長一人でほとんど所有しており、優良企業のため株価評価は6億円にもなっており、小手先の対策ではどうしようもない状況のようだった。

 仮に発行済議決権株式数の3分の2にあたる自社株式4億円の贈与を後継者が受けたとすると、約2億円の贈与税が課せられる。しかし次の条件をクリアして、この制度を使えば贈与税を払わずに自社株式を後継者に贈与できることになる。

まず一番の条件は①中小企業であること。以下②5年平均8割以上の雇用を確保し続けることだ。(改正前は毎年8割以上の確保が条件だった。)③5年間は代表者であり続けること。かつ④株式を所有し続けること。⑤資産管理会社に該当しないことが条件になっている。十分に検討の余地が出てきたのではないだろうか?

 贈与する側の条件としては、①会社の代表者(だったでも可)であること。②本人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有かつ同族内で筆頭株主だったこと。受贈者の条件としては①会社の代表者であること、②贈与を受けた後で、本人と同族関係者で、発行済議決権株式数の50%超の株式を保有かつ同族内で筆頭株主であること。

しかも③贈与を受ける時点で20歳以上かつ役員就任3年以上という条件だ。今回の改正では親族以外へもこの税制が適用になった。贈与者が死亡した時点で、贈与税は免除される。

相続税は通常通りかかることになるが、発行済議決権株数の3分の2までの80%の税額の納税猶予制度を活用すれば相続税というコストを最小限に抑えた事業承継が可能になる。

この制度は資産管理会社には適用しないということで、かなりがっかりされている持株会社、不動産管理会社のオーナーの方も多いと思うが、例えば、常時使用従業員を5人以上雇用するなどの条件を満たせば資産管理会社とはみなされないなどの例外規定もあるので、すぐに諦めず、それらの条件を満たしていないか、あるいは満たすことはできないかを検討することも重要だと思う。

自社株式の評価が高くなりすぎて、途方にくれているオーナー社長は是非、今年から施行された「改正事業承継税制」の活用も選択肢の一つに入れて見てはいかがだろうか。



2015年3月29日   著 者  税理士 千葉 和彦



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