千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

自己資本比率
(平成28年1月)

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 早いもので開業して30年が過ぎた。 仕事柄多くの経営者の方とお会いする機会 が多い。ほんとに奥の深い楽しい仕事だと思う。

特に開業したての頃は、まだ30歳になったばかりの若造が人生の大先輩の社長方とお会いすることができるのだから、こんな凄いことはないと思った。ほかの業種では考えられないことではないだろうか。

当社の若いスタッフにも「こんな恵まれた業種はないのだから、この環境に感謝し、人生の大先輩から多くを学ばせていただく姿勢で、敬意を持って、少しでも社長様方の役に立つことを考えて行こうよ」と話している。

虚勢や嘘は、人を見抜く達人の社長達には適用しない。すぐに見抜かれるのだから、背伸びせず誠心誠意、接することが大事だと口を酸っぱくして話している。

私も、特に自分一代で叩き上げた社長には、学校や教科書では決して知ることができないことを数多く教えられてきた。「そんな教科書に載っていることを知りたいのではない。」と何度言われてきたことか・・。

 ずいぶん前の話になるが、ある会社と顧問契約をした最初の頃「先生、俺は一円たりとも無駄な税金を払う気はない。利益がでても税金がかからないように知恵を出してくれ」と言われた。

社長これ以上の知恵はもう出せませんよと答えると「先生、俺はこんなことをしたいと思っているが、だめか?」と、その内容を聞くと、余りの自由な発想と創造性に驚くこともしばしばだった。

しかし、ある日、私は意を決して、その社長に「社長無理な節税をすると会社が弱くなりますよ」と話した。すると社長は「何故だ?」と面喰ったように私を見つめた。

私はこの社長は話をきちんと聞いてくれると信じ話し続けた。「自己資本が増えないからです。自己資本は基本的に税引き後の利益でしか増えていかないからです。社長の会社は、自己資本比率が10%もありません。例えば主力取引先の倒産とか何か突発的なことが起こったら、社長の会社も一緒に沈んでしまいますよ。」

険しい顔で私の説明を聞いていた社長が静かに口を開くと「では、どうすればいいんだ?」と聞いてきた。私は「会社でしっかり利益を出し、適正な税金をきちんと支払っていくことです。」と短く答えた。私は、社長が怒り出すかもしれないと思った。

しかし社長は怒りだすどころか身を乗り出して次々と質問をしてきた。「それで自己資本比率がいくらになればいいんだ?」私は「まずは黒字中小企業の平均の30%を目指してください。」と答えた。

20年が過ぎました。最近の私と社長の会話です。

私「社長、今期もかなりの好業績で良い決算を迎えられそうです。自己資本比率も40%を超えました。決算対策をされてはいかがでしょうか?」

社長「特に決算対策はいらないよ。そのまま出た税金を払わしてもらうよ。」私「このままですと大変な税額になりますが・・・」

社長「税金をきちんと支払い、自己資本比率を高める経営をしろと教えてくれたのは先生ではないか?ちゃんと税金分の資金も用意しているから心配しなくて大丈夫だよ。最近資金繰りにもかなり余裕がでてきたんだよ。」

社長「そういえば、昔は見向きもされなかった銀行からも融資をすると盛んに言ってくるよ。」

私「社長の会社が優良企業になった証しですよ。ほんとに頑張りましたね。」社長「実は俺も先生に教えられてからずーと自己資本比率40%を目指してきた。やっと実現できてうれしいよ。」

私「社長、せっかくですから、ここで気を抜かず今度は60%以上目指しましょうよ。」

社長頑張れ!

2015年12月29日 著者 税理士 千葉 和彦

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