千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

一般社団法人への規制
(平成30年4月)

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 先日、ある顧問先の会長が、どうにもうかない顔で話し始めました。以下はその時の会話です。

 
会長 「一般社団法人に相続税が課税されると最近の日経にでていました。昨年設立した私の一 般社団法人は無意味だったということですか?」 
 
 「会長の社団法人は課税されませんよ。」
 
会長 「えっ!どうしてですか。一般社団法人に私の株を全部移したはずですが・・・」
 
「会長の株は移されておりません。一般社団法人を受託者として株を預けているだけです。」
 
会長 「一般社団法人で所有しているアパートにも課税されないのですか?」
 
「一般の法人税は課税されますが、相続税は課税されません。」
 
会長 「いや、不動産にも課税されると書いてあったと記憶しているのですが・・・」
 
 「会長、それは会長の不動産を一般社団法人に売却した場合で、今回のアパートは、一般社団法人が第三者から直接購入したものですから、関係ありませんよ。」
   
会長 「では、うちの一般社団法人のメリットは何だったと考えればいいですかね?」
   
「会長は自分の株式を受託者である一般社団法人に信託しているのですから、もしも会長が認知症などになっても問題なく議決権は行使されるので経営は安泰ということです。
 
しかも、次の受益者も指定していますから安心です。
 
例えば、信託を使わず専務をしている次期後継者の長男に株式を贈与したとします。
 
  その後、もしも長男が事故などで急死してしまったら、事業には関わっていない長男の奥さんが株式を相続してしまいます。
 
  世の中には、そのせいで会社が傾いてしまったというケースもあります。信託しておくことでそのようなリスクも避けられるのです。
 
信託は民法よりも強いですからね。
 
会長の信託した株式も、長男に万が一のことがあった場合、株式は一緒に経営に関わっている次男に承継するように信託契約書を作成しましたので、その株式は奥さんにはいかず、次男に相続されます。
 
このようなことができるのは、信託だけです。
 
信託には節税という考え方はなく、また家族信託は営利行為でもないという特徴を考えると、受託者が一般社団法人というのは、自分や親族のもしもに備えるためには、すごく使い勝手が良いものではないでしょうか。
 
しかも一般社団法人には資本金がありませんので、株式を相続する面倒が避けられのは従来通りです。」
 
会長 「頭の中が良く整理されていなくて、焦りましたが、先生の話を聞いて安心しました。」
 

 今回の改正は平成30年4月1日以後(同日前に設立された一般社団法人等については平成33年4月1日以後に適用される。)の役員の死亡にかかる相続税について適用されます。

適用される一般社団法人は同族役員数が2分の1を超える場合で、その時の一般社団法人の純資産を役員数で除した金額が一般社団法人に遺贈されたことになります。

 前から議論があったところですので、今回はっきり決まってかえって良かったのではないかと前向きに考えています。

一般社団法人そのものが否認されたと誤解されている方もおりますが、決してそのようなことはなく、特徴を良く把握し、活用していきましょう。
 
 
 
2018年3月29日(木) 著 者  税理士 千葉 和彦