千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40

生保業界に激震・・全損保険の販売停止
(平成31年4月)

エッセイ一覧へ

←前へ 次へ→
  2019年2月14日「全損型保険、販売停止!」の報道が各紙に取り上げられた。ここ数年、節税だけが前面に押し出された「全損型保険」の大量販売を国税、金融庁が問題視し、各生保会社に税務通達の見直しを通知、生保各社が即時に販売を停止したのである。生保のプロ代理店の方の中には、涙目で今後何を売っていったら良いのかと途方に暮れている方もいる。それほど今回、各保険会社が販売停止をした全損タイプの保険いわゆる「節税保険」というものが、多くの中小企業の経営者の支持を受け販売されてきたのだ。

  経営はリスクに囲まれており、いつ何が起こるかわからない。そのため、その防衛策の一つとして保険ほど心強いものはないというのが正直な感想だ。自分の会社の借入金や固定費などを踏まえ、会社を取り巻くリスクに備えた必要保障額を計算し、保険に入っておけば、企業本来の目的である「存続と発展」を実現することができる。経営者の死亡や自然災害がすぐに会社の倒産につながらないようにしておくことこそが、社員や家族をかかえている会社にとっては必須であり、これが本来、企業保険が「企業防衛」と言われる所以でもある。しかも、同時に節税もできるとなれば、保険の魅力は大きい。「節税、貯蓄、保障」を備えた商品は、周りを見渡す限り保険以外になかなか見当たらない。今回は、その「節税」面だけを強調した販売方法に国税、金融庁のメスが入ったのであるが、再度、保険本来の「保障」機能を見直し、企業を取り巻く将来のリスクに備えるという保険機能の原点に立ち返り、自社の必要保障額等を見直す良い機会ではないかと考える。

 そこで、生命保険ではないが、国が運営する「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)の活用も見直してはいかがだろうか?名前の通り、取引先が倒産した場合には、掛金の10倍まで融資が受けられ、連鎖倒産を避けるためのものであるが、その掛金は、掛け捨てではなく積立で、解約するとほとんど戻ってくる。その掛け金は、月額5000円から20万円までの範囲で自由に選択でき、年払い(前納)することもできる。掛金総額が800万円まで積み立てることができる。このセーフティ共済の掛け金は、前に述べたように、積立なので、本来、税務上は損金(必要経費)にはならない。しかし、国はこのセーフティ共済への加入促進のため掛金の全額損金を認めている。生保ほどの全損のインパクトはないが、これらの活用も再度見直してはいかがだろうか。

 今回、急な通達改正が予定されているが、今までも何度か経験してきたことだ。ここは、慌てふためかず、冷静に、成り行きを見守りながら、企業の本来の企業防衛としての保険の原点に立ち返り、自社の必要保障額をしっかり見直していこうではありませんか。

 保険は、企業防衛のほかにも相続税の納税資金準備や遺留分対策としても有効(もちろん法定相続人1人につき500万円の非課税枠があるのは従来通りである。)であり、活用のメリットは大きいので、継続して保険の活用をすべきだと思う。応援しています。

2019年4月1日   著 者  税理士  千葉 和彦