千葉和彦税理士事務所 塩釜市玉川1-2-40

       「家族信託」が浸透してきました!
            (令和3年11月)

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  家族信託について関心を持たれている方が増えていると実感している。私は平成25年から取り組んで来たが、当時は「何それ?」という方が、ほとんどだった。最近は私が話す前に「自分の認知症が心配なので、家族信託を組みたいのですが、どのように手続きしたら良いですか?」と相談者から聞かれる機会が増えた。それだけ家族信託の知識が浸透してきているということだと思う。



 私が家族信託に取り組んだキッカケは、顧問先の会長から「私の子供に障害を持っている子がいるので、将来が心配だ。その子が私に万が一のことがあっても、食べていけるように、アパート一棟の管理をその子の為に誰かに頼めないか?」という相談だった。会長はかなりの資産家だったので、「特定障害者に対する贈与税の非課税」を活用しながら会長の希望にも添えるようにできたらと考えた。この場合の要件は、受託者を信託銀行として、金銭、有価証券、その他の財産を信託した時に受益者が、特定障害者の場合にこの制度が使える。障害の程度で、その非課税枠は6000万円と3000万円がある。この会長のお子さんの場合は障害の程度の大きい特別障害者だったので、6000万円までは非課税枠を使えることになる。しかも会長の相続財産からその6000万円がなくなるので、会長の相続対策にもなり一挙両得と考えたのだ。早速受託者となるべき信託銀行を当たってみたが、いずれも不動産の管理が大変なので、不動産の信託は受けないところばかりだった。



  やはりこのようなアパートの信託は信託銀行に頼むのではなく、信頼できる家族の誰かを受託者にする家族信託の活用(特定障害者の非課税は使えないが)が適切だ。すなわち会長を委託者、信用できる親族を受託者、障害を持つ子を受益者としておけば良い。ただしこの場合、贈与税の非課税は使えないので、当初の受益者は会長にしておかなければならない。そうしないと大変な贈与税がお子さんにかかることになるからだ。亡くなった時に、次の受益者を会長からお子さんに指定しておけば、そのままアパートはそのお子さんに相続されることになる。相続税の節税にはならないが、遺言を書いたのと同じことになり、遺言の手間が省ける。しかも受託者は、会長死後も、アパートを管理し続け、その収益は受益者であるお子さんに渡すようになるので、お子さんの生活も安心ということになる。



 しかし、そうは言うものの家族信託を組成する場合に、受託者を誰にするかが大きな問題で、そう簡単には決められない。あるいは、信頼してまかせきれる親族がいない方も多いのではないかと思う。次回は信託契約の一番の要となる「受託者」について検討していきたいと考えている。今年も残すところ二か月になりました。寒さも増してきましたので、健康管理に気を付けて年末乗り切りましょう。





2021年10月30日(土) 著 者 税理士  千葉 和彦