千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40
地震・津波により被災された皆様へ
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 震災による被害を受けた場合の申告・納税手続等
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災害による被害を受けた場合には、以下のような申告・納税に係る手続き等があります
(1)災害により申告・納税等をその期限までに出来ない場合は、所轄税務署長に申請し、その承認を受ける子とにより、その理由のやんだ日から2ヶ月以内の範囲でその期限が延長されます(※)
(2)災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、納税の猶予を受けることができます(※)
(3)個人が災害によって、住宅や家財などに損害を受けた場合、所得税の確定申告を行うことにより雑損控除もしくは災害減免法に定める所得税の軽減免除を受けることができます
(4)災害によって事務処理能力が低下したため、消費税の一般課税から簡易課税への変更が必要となった場合、棚卸資産やその他業務用資産に相当な損害を受け、緊急な設備投資を行なうために、消費税の簡易課税から一般課税への変更が必要になった場合には、特例措置があります
※平成23年3月15日付国税庁公示第8号により、青森県、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県の納税者については、平成23年3月11日以後に到来する全ての申告・納税の期限が申請等をしなくても自動的に延長されています
法人税・所得税共通
(1)今回の地震・津波により被災した商品や建物等の事業用資産について
法人・個人事業者の所有する商品、店舗、事務所等の資産が被災した場合、下記@〜Bに損失・費用が発生したときには、その損失・費用の額は必要経費として認められます(損金の額に算入されます)
 @商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が今回の地震・津波により被災した場合、被災により被った損失の額(商品や原材料、建物等が使えなくなった場合、その簿価が損失の額となります)

 A損壊した資産の取壊し・除去のための費用の額(商品や原材料の処分料、建物の解体費等)

 B土砂その他の障害物の除去のための費用の額(津波による土砂や車等の漂流物の撤去費用等)
(2)今回の地震・津波による被害の復旧のために支出する費用について
法人・個人事業者が被災した固定資産について支出する費用は、下記@〜Bに掲げる経理処理となります

 @被災した固定資産について、その現状を回復するための費用は、修繕費となります(屋根や壁、ガラスの修理等)

 A被災した固定資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用を修繕費として処理をした場合は、必要経費として認められます(損金の額に算入されます)

 B被災した固定資産について支出する費用(@又はAに該当するものを除く)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます
(3)従業員等に支給する災害見舞金品
法人・個人事業者が今回の地震・津波により被害を受けた従業員・その親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として必要経費として認められます(損金の額に算入されます)
また、自社の従業員と同じように働いている専属下請先の従業員・その親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても、同様の取扱いとなります
法人税関係
(1)取引先に対する災害見舞金等
被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与等のために掛かった費用は、交際費等に該当しないものとして支出した全額が法人税法上の経費として認められます(損金の額に算入されます)
(2)取引先に対する売掛金等の免除等
災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、その免除することによる損失は、寄付金又は交際費等以外の費用として支出した全額が法人税法上の経費として認められます(損金の額に算入されます)
(3)取引先に対する低利または無利息による融資
災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として低利又は無利息による融資を行なった場合における通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は、寄付金に該当しないものとされます
(4)自社製品等の被災者に対する提供
不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄付金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として支出した全額が法人税法上の経費として認められます(損金の額に算入されます)
(5)災害による損失金の繰越
各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち、棚卸資産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(災害損失欠損金額)がある場合には、その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても、
その災害損失欠損金額に相当する金額は、その各事業年度において法人税法上の経費として認められます(損金の額に算入されます)
所得税関係
(1)個人が受け取る災害見舞金
個人が受け取った災害見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当とみられるものについては、課税されません
(2)低利又は無利息により生活資金の貸し付けを受けた場合の経済的利益
災害により臨時的に多額な生活資金が必要となった役員又は従業員が、使用者からその資金に充てるために低利又は無利息で貸付を受けた場合に、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける利息相当額の経済的利益は、課税されません
(3)被災事業用資産の損失の繰越し
事業を営む個人のその年の前年以前3年内の各年において生じた純損失のうち、棚卸資産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(被災事業用資産の損失の金額)がある場合には、白色事業者であっても、その被災事業用資産の損失の金額は、その年分の総所得金額等の計算上、控除することとされています
(4)災害や盗難などで資産に損害を受けた時(雑損控除)
災害や盗難、横領などによって、所有する資産に損害を受けた場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます

・雑損控除の対象となる資
自己と扶養に含めている配偶者、扶養者が所有する生活に通常必要な住宅、家具、衣類など。ただし、事業用資産や別荘、書画、骨董、貴金属等で1個又は1組の価格が30万円を超えるものは該当しません

・損害の原因
@.地震、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害(今回の地震・津波が該当します)
A.火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
B.害虫などの生物による異常な災害
C.盗難(オレオレ詐欺は該当しません)
D.横領

・控除できる金額
下記@とAのいずれか多い方の金額となります
@.(差引損失額)−(総所得金額等)×10%
A.(差引損失額のうち災害関連支出の金額)−5万円
※損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年以内に繰越して各年の所得金額から控除することができます
(5)災害を受けたときの所得税の軽減免除
災害によって住宅や家財に損害を受けたとき、災害減免法により所得税が軽減免除されます((4)雑損控除との選択適用)
・災害減免法の適用を受けるための要件
災害のあった年分の所得金額が1,000万円以下で、今回の地震・津波によって受けた損害金額(a)が住宅又は家財(b)の時価の2分の1以上の場合は、所得金額に応じて所得税額が軽減免除されます
(a)損害金額とは、保険金等により補填される金額を除きます
(b)住宅又は家財とは、自己と扶養に含めている配偶者、扶養者が所有する常時起居する住宅又は日常生活に通常必要な家具、住器、衣服、書籍その他家庭用動産をいいますが、別荘や貴金属類、書画、骨董、美術品等で1個又は1組の価格が30万円を超えるものは含まれません

・災害減免法により軽減又は免除される所得税の額
所得金額 軽減免除される所得税額
所得金額 軽減免除される所得税額
500万円以下 全額免除
500万円超 750万円以下 1/2軽減
750万円超 1,000万円以下 1/4軽減

・災害減免法の適用を受けるための手続き
確定申告書に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、原則として確定申告期限内に所轄の税務署へ提出
注)(4)雑損控除と(5)軽減免除はいずれか有利な方を選択適用
 
震災・津波で帳簿を滅失した場合の対応Q&A
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Q1.震災(不可抗力)によって、全帳簿を滅失してしまいました。各税法による領収書等の7年間の保管義務を怠ったとして、罰則はあるのでしょうか?
A1.税法が定める罰則の適用はないと解されます
 
Q2.震災による津波によって、帳簿類が全て滅失し、税務申告の為の計算が困難ですが、このような場合はどうしたらよいでしょうか?
A2.いかなる状況において計算が困難な場合であっても、それを認める旨の例外規定は設けておりません。その為、原則としては、可能な限り帳簿等の復元が望まれます。
 また、滅失により、計算書類の作成が不要になるわけでなく、個々の会社における書類の保存状態に応じて、推定によって確定していくことになります。
 例えば、証拠等がなくても取引記録(パソコンのデータ、預金通帳、現金出納帳等)が残っている場合には、それを基に計算していくことになり、またそれらの記録が全く何も残っていない場合には、過去の税務申告の記録から推定していくということになります。
 ただし、これらの方法に関しては既述の通り、規定は設けておりませんので、個別に所轄の税務署に相談する必要があります。
 
Q3.自然災害等で会計記録が滅失した状況で作成された計算書類は株主総会でどのように承認を得たらよいでしょうか?
A3.自然災害において、会計記録が滅失してしまった場合において、計算書類を作成することがまったくできない場合には株主総会の承認決議により計算書類が確定することもありません。
 また、計算書類が作成することができたとしても、証憑類が全く無ければ、会計監査人からは意見差し控えの監査報告書が為される可能性が高いものと考えられます。
 仮に、意見差控えの旨の会計監査報告等を株主に提供して、計算書類につき株主総会の承認が得られたとしても、当該計算書類の内容が「公正妥当な企業会計の慣行」から著しく逸脱していたときには、決議内容が法令に違反するものとして、当該承認決議が無効となるおそれがあります。
 従って、災害等の影響で計算書類の作成が著しく困難な場合であっても、そのような事態における「公正妥当な企業会計の慣行」に準拠した計算書類の作成に努めることが重要であると考えられます。
 
Q4.計算書類が確定していない場合、配当はどうしたらよいでしょうか?
A4.計算書類が確定していない場合、分配可能額の計算が不可能となりますので、株主への剰余金の配当や自己株式の取得は困難であると考えられます。
 同条に違反した場合、剰余金の配当等に関与した取締役は、株主に交付した金銭等の帳簿価額に相当する金銭を当該株式会社に支払う義務を負うことになります。
 
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