千葉和彦税理士事務所 宮城県塩釜市玉川1-2-40
過去10年の趨勢から今後の戦略を考える
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 これまでの経営を振り返ってみると、危機もあったでしょう。そのときどきにおいて、どんな判断をして、どんな手を打ってきましたか。例えば、過去10年の経営を振り返り、今後の戦略を考える参考にしてみてはいかがでしょうか。
 
1.過去10年を客観的に振り返ってみる
 日本経済の過去10年は、デフレ不況、安価な海外製品の流入、内需縮小、製造拠点の海外移転、リーマンシヨック、東日本震災、円高など厳しい状況が続きました。
 そのような中にあっても、中小企業は、経営努力や創意工夫をして、顧客・市場の開拓、製品、サービスの付加価値向上などをはかって頑張ってきました。
 過去10年の経営を振り返り、これまでの努力、成果を客観的に評価し、今後の戦略を考えるヒントにしてはいかがでしょうか。
 過去10年の業績データ、TKCの「経営分析報告書」などから、売上や利益の変化、現預金や借入金の増減などを頼りに思い出してみましょう。
 
2.10年間の売上の推移はどうか?
10年間の自社の売上の変化はどうだったでしょうか。3年くらい前のデータだとあまり変わっていないように見えても、10年だとその変化の過程がわかります。例えば、次のような売上の変化のパターンがあります。
□何とか、現状維持で踏ん張ってきた。 
□浮き沈みの連続だった。
□急激に落ち込んだまま、低迷が続いている。
□一時、大きく落ち込んだが、回復基調にある。  
□変動はあるが、上昇傾向が続いている。
 
3.売上減少のときにどう対応したか?
 例えば、大口取引先の倒産やリーマンシヨックなどで売上が大きく落ち込んだが、その後、回復しているとすれば、そのときに、どのような判断をして、どんな対策を打ったのでしょうか。
□品質やサービスの向上、付加価値アップなどに取り組んできた。
□固定客、リピータ―づくりに力を入れた。
□これまでと異なる地域、年齢層、業種、市場など新たな顧客を開拓する努力をした。
□海外との取引、海外進出をはかった。 
□顧客の嗜好、ニーズに合わなくなった商品を見直し、新商品の開発に取り組んだ。
□技術、ノウハウを活かして、新分野進出、業種転換をはかった。 等々
 売上が落ち込んだままであれば、当時の判断は良かったのかどうかを客観的に考えてみましょう。
先行きが不透明だからといって、何の対策も打たなかったり、従来と同じことを続けているということはないでしょうか。
 
4.借入金の増減はどうか?
  借入金の増減はどうでしょうか。例えば、借入金を懸命に減らしてきたつもりだったが、以外に減っていなかった。しかし、それは,ある年の設備投資が原因で、それが、現在の売上アップや利益の改善につながっているなどということが見えてきます。
 以上は一例ですが、10年の流れの中で、今を見ることが今後の方向性を考えるヒントになります。
 大切なことは、そのときの意思決定と努力があって、今日があるわけです。厳しい経営環境の中で、頑張って利益を出し、やってきたのですから、これから先を乗り越えるために知恵を出し、工夫をしていきましょう。
 
5.売上アップのヒント
@ゼネコン下請けから脱却し、一般住宅にシフト
 ゼネコンの下請けとしてビルの塗装工事を手掛けてきた安田塗装(東京都)は、建設不況によって売上が伸び悩んでいました。
 そのため、一般住宅からの直接受注へとシフトをはかり、チラシや飛び込み営業によって、売上を増やしました。しかし、再び売上が伸び悩んだため、自社HPを活用し、塗装工事の必要性、作業工程と参考価格を明確にしました。これは、工事内容や価格が一般の消費者にはわかりづらく、不信感を持たれることが少なくなかったからです。その透明性が評価され、受注を増やしました。現在は、外装だけでなく、内装についても事業拡大を図っています。
(中小企業ビジネス支援サイト「J-NET21より」http://j-net21.smrj.go.jp/well/genki/2009/04/post_371.html)
A時代の変化を読み、業態転換で成長を続ける
 創業300年の大塚産業マテリアル(滋賀県)は、蚊帳を製造する企業でした。同社は、戦前の物資不足の際には、羊毛代用品や真綿の量産技術を開発するなど、研究開発を怠らず、時代に適応した事業を展開してきました。
 1950年代半ばには、住宅事情の変化から蚊帳需要の減少を予想し、これまで培った技術を活かし、蚊帳生地を貼った住宅用壁紙を開発し、欧米に輸出しました。1960年代半ばには、自動車の普及を見越して、自動車用シート素材やウレタン性ヘッドレストなど、自動車関連の分野へと展開しました。
 研究開発を怠ることなく、常に時代の変化と消費者のニーズの変化を先読みし、いち早く業態転換をはかることで、成長を続けています。
(「中小企業白書2011年版より」http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23_1/110803Hakusyo_part2_chap1_web.pdf 77ページ)
 
6.売上アップの事例(中小企業白書2011より)
企業

@時代の変化に応じた業態転換を行い、成長し続ける創業300年の老舗企業
  滋賀県長浜市 大塚産業マテリアル梶i従業員117人、資本金2,000万円)
  住宅内装・自動車部品製造

A常に他社に先駆けて新しい試みに取り組む、清酒ラベル印刷業界トップの創業約100年の老舗企業
  石川県金沢市 高桑美術印刷梶i従業員290人、資本金1億6,800万円)
  清酒ラベル印刷

B自社設備は自社で作るという方針で成長を続けている企業
  広島県広島市 潟qロテック(従業員1,340人、資本金2億8,000万円)
  自動車用部品から部品製造のための金型・設備等の組立プラントまで製造

C独自の精密鋳造品の製造技術を基に、自動車部品等の取引を拡大させている企業
  長野県千曲市 森川産業梶i従業員250人、資本金2億3,500万円)
  自動車及び自動車関連の素加工一貫とした鋳造部品、環境機器、精密機器及び一般産業用機械の設計・製作、冷凍冷房用バルブの設計・製造を行う

D産官連携で開発したプレス用分割構造パンチを大手自動車メーカーに採用された企業
  宮城県遠田郡 キョーユー梶i従業員108人、資本金8,888万円)
  電子デバイス向け産業・自動車関連産業のプレス金型やその部品を製造

Eコネクタ部品へのインサート成型技術の応用により大手メーカーへの販路を開拓した企業
  岩手県北上市 潟xスト(従業員46人、資本金1,650万円)
  超精密製品の金型や部品を製造

F加工コストを低減する独自技術を開発し、自動車等の部品を製造する技術を確立した企業
  愛知県一宮市 潟Pーエスディー(従業員130人、資本金2,000万円)
  シフトレバーや顕微鏡等の精密機械部品の高精度アルミダイカスト製品等を生産

G徹底した自前主義で100%内製化を目指し、顧客中心のものづくりを行う企業
  大阪府枚方市 吉泉産業梶i従業員60人、資本金1,000万円)
  魚の切り身の大きさを映像情報で判断して常に一定の大きさに切り分けるスライサー等の食品加工用機械を製造

H元請企業の倒産を乗り越え、自社独自の製品メーカーへ進化した企業
  奈良県奈良市 君岡鉄工梶i従業員21人、資本金1,000万円)
  仮設足場製品を製造する

Iアルカリ乾電池の絶縁紙の世界シェア30%、国内シェア60%を誇る企業
  高知県土佐市 廣瀬製紙梶i従業員35人、資本金2,000万円)
  主に合成繊維と水を使った湿式不織布を製造販売

Jスリム省エネ蛍光灯で、コンビニエンスストアの冷蔵・冷凍ショーケース照明の国内シェア7割を有する企業
  神奈川県横浜市 プリンス電機梶i従業員83人、資本金4,700万円)
  省エネ蛍光ランプを製造

Kポケットティッシュを折りたたむ機械を開発し、ポケットティッシュはもらうものという文化を創り出した企業
  高知県高知市 明星産商梶i従業員385人、資本金9,800万円)
  各種ティッシュやマスク等を製造

L電気自動車の基幹部品製造に関わるなど、最先端技術分野企業に対応発展している工業用熱処理炉メーカー
  岐阜県土岐市 高砂工業株(従業員325人、資本金2億円)
  工業炉の製造を通じて電気自動車のリチウムイオン電池材料製造に携わる

Mインターネットで加工現場を動画発信することにより、取引先を拡大し鯖江の眼鏡産業のゲートウェイを目指す企業
  福井県鯖江市 叶シ村金属(従業員30人、資本金1,500万円)
  地場産業である眼鏡の部品となる兆番やねじ等の精密加工製品を製造

N研究開発を行い、医療機器分野で新たな事業展開に成功した企業
  兵庫県加西市 トラストメディカル梶i従業員20人、資本金5,000万円)
  医療用機器や検査キットを製造

商店街

@それぞれの店が営業を再開し始め、活気が戻りつつある商店街
  岩手県宮古市 宮古市末広町商店街

A地域になくてはならない商店街を目指し、地域密着型の取り組みや情報発信を行う商店街
  鹿児島県鹿児島市 宇宿商店街

B買い物難民の発生を防止し、高齢者の消費生活を支える組合
  大阪府堺市 泉北桃山台市連マーケット事業協同組合

C半径300メートルを対象にした徒歩圏マーケットを推進する商店街
  熊本県荒尾市 荒尾市中央商店街

D子どもからお年寄りまでの多世代が集い、地域コミュニティの中心を目指す商店街
  愛媛県四国中央市 川之江栄町商店街

E夜市を開催して新規出店を支援することなどにより、にぎわい再生に成功した商店街
  群馬県館林市 たてばやし下町通り商店街

F商店主の収益、雇用確保のために、数々の地域密着事業を展開する商店街
  東京都足立区 東和銀座商店街

G商店街の個性発揮と大型店との連携による活性化を目指す商店街
  岡山県岡山市 表町商店街

H住民との対話から環境整備、イベント開催、宅配サービス等を行い、空き店舗が減少した商店街
  島根県浜田市 紺屋町商店街

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